虫唾も肉離れ

取り留めもなさすぎる

右手にあんぱんを左手にフランスあんぱんを

 

f:id:blogmalu:20190314044927g:image

これは「右手に盾を左手に剣を」。

城之内克也の文字通り「切り札」ですね。

 

でこっちが「右手にあんぱんを左手にフランスあんぱんを」状態です。

f:id:blogmalu:20190314044842j:image
f:id:blogmalu:20190314044845j:image


というのもこないだ夜勤の3時間半残業(計22時間半労働)という赤鬼と巡る地獄ツアーのオプションみたいな仕事があり(本当にぶっ倒れるかと思いました)、その後朦朧とした意識の中、ある食べ物が僕の空腹を見事に刺激したのです。

 


はい、「あんぱん」です。

 


あんぱんってたまに無性に食べたくなることないですか?僕は結構あるんですな、これが。

 


仕事帰りの道すがら、家の近所のパン屋に足を運んだ。家の近くにパン屋があるって素晴らしいですよね。どんな物騒な地域でも、そこにパン屋があるだけで二割り増しに治安が良くなりそうだ。

僕はパン屋入るとさっそくトングとトレイを手に取り、小さな店内を練り歩いた。

食べたいパンはもちろん「あんぱん」と決まっていたので、すぐにレジまで持っていくことは出来たのだけれど、一度パン屋に入ると何を買う買わない関係なく、一周二周ぐるっと見回すのがパン屋に対する礼儀だと、割と真剣に思っている。なのでその日もあんぱんの位置を確認しつつ、ぐるりと店内を物色していると、とあるパンが僕の視線を捉えたのだ。

 


「フランスあんぱん」

 


そこにはこう書かれてあった。

そのトレイには普通のあんぱんよりも淡い色味の丸い生地に、胡麻のようなものが振りかけられているパンが並んでいた。

そして気がつけば僕はそのフランスあんぱんをトレイの上に乗せ、いわゆる普通のあんぱんと一緒にレジに運んでいた。日仏あんぱん協定が結ばれたのだ。

 


僕は家に帰り、さっそくテーブルの上にあんぱん(日)と、あんぱん(仏)を並べてみた。

そしてどっちから味見してやろうか…と双方のパンを舐めるように見比べながら、まず、あんぱん(日)を口に入れた。

あんぱん(日)はそれはかなり美味しかった。餡もぎっしり詰まっているし、何より期待を裏切らない味だった。帰るべき場所、母なる故郷、と言った味わいだった。

そしていよいよあんはん(仏)だ。パスポートは持った。搭乗券も持った。ガイドブックもダミーの財布も入れた。よし、レッツフライト!

 


「固い」

 


ファーストインプレッション  イズ  固い。

家系図を7つくらい遡ったあたりに居そうな、頬骨の突き出たおじいさん(歴史の教科書に出てくる杉田玄白さん辺りを思い浮かべて下さい)の皮膚みたいな食感、そして味の生地だった。

そして餡までの道のりが思いのほか遠かった。日本からフランスまで、凡そ半日かかると言うが、まるでそれを体現しているようなじれったさだった。

そしていよいよ餡に辿り着き、生地に振られていたゴマ部分に達した時、凱旋門見下ろすパリの街並みに、いきなり中華な風がなびいたのだ。

 


「ゴマ団子…では?」

 


そう、完全に口の中はゴマ団子の口になっていた。あるかどうかは知らないが、「フランスのチャイナタウン」に訪れた気分だ。

結局僕はそれからあんぱん(日)とゴマ団子を交互に食べながら、最後はやはり我らがお袋の味で締め、日仏中あんぱん議会は幕を降ろした。

多分もうあんぱん(仏)には手を出さないだろうな…

(ちなみに日仏とも値段は同じでした)